無敵に思えた瞬間を取り戻したい
過去の栄光とかにすがる人間は側から見て滑稽に見えるけど、こいつ無敵じゃね?感を持ってる人が今特にこれといって取り柄がなかったりすると、昔の彼、彼女を思い出してなんか期待してしまう。
スポーツができるわけでも、勉強ができるわけでもないけど、どこかすごい、無敵、かっこいいって思わせる雰囲気を持ってる人はどこかでまたやってくれるんじゃないかって思う。
主人公感があるというか、特別な何かを持ってるんじゃないかとかなんかそんな感じ。
GANTZのけいちゃんとか、20世紀少年のケンジとかみたいに昔は凄かったけど今はパッとしない、でもいざという時なんかしてくれそう、そんな気質の人に期待を寄せずにはいられないのだ。
僕にはニートの友だちがいる。
そいつの共通の友人とはいつも、今はニートだけどいつかなんかしらのこで大きく成功をしそうだよなと話をしている。今現在は何もせずすごしてるただのぷらぷらプー太郎だけど、でも普通の人とは違う何かを持っている気がするから、期待せずにはいられない。
昔のそいつは言葉に表すのは難しいけどなんか無敵だったから。
ホラ吹きの友だちがいる。
当時から言ってることのほとんどは嘘のようなやつだったけど、たまにとんでもなくすごいことをする、そんなやつだった。
何がすごいかは同様に言葉にできないけど、そいつがなんかしようと動いならどうなるんだろうと思うし、一枚噛んでみたい。
初恋の人がいる。
当時は男子の間では人気が高く、髪型は木村カエラみたいによくヘンテコになるけども可愛くて愛らしい子だった。
多分芸能人とか他の美人に比べれば今会ったらそんなに可愛くもないかもしれないけど、でも会ったらときめくんだろうなって思う。
そして自分。
小学生の頃は無敵だった。
なんでも出来る気がした。人気もあったし、多分あの時のままの自分だったらモテモテで、仕事も難なくこなして行けたんじゃないかと思う。
ニートの友だちにしろ、ホラ吹きの友人にしろ、初恋の子にしろ自分にしろ、いつからかその特別な何かを失っていって今は平凡に過ごしている。
子どもの頃の無敵な感じを大人になって再現するのは難しい。
考えれば考えるほどその特別な何かはどこかへいってしまう。
でもいつか、無敵になれる瞬間を僕は心待ちにしている。
他人でも自分でも。
今現在のどうしようもない状態から一気に素敵に大胆に、無敵な世界を手に入れたい。
エピローグ沁みたこの世界が再び動いて欲しいと願う。