恋に恋してるロマンティックモテないボーイ
中学生ぐらいの時になんかの歌で恋に恋してるって歌詞があって、その曲を聴いた時は何を言ってんだかって思った。
好きな人がいて、初めて恋は生まれるもので、恋に恋するなんて手段が目的になっとるやんと冷たい目で見ていた。
だが今僕は恋に恋している。
好きな人はいない。気になる人も。いい感じの子も。可愛い子を目で追うことはあれど、付き合いたいとまではいかない。
今グラビア界を騒がせてる大原優乃ちゃんを雑誌が出るたびに凝視しているけど、大原優乃ちゃんと付き合いたいとは思わない。
キュンとするような想いをしたい。ラブラブしたい。イチャイチャしたい。あぁこの人が好きだなって思いたいし、ずっとこの時間が続けばいいのにって思う。手を繋ぐことにときめいて、好きって言葉を恥ずかしながらも力強く口にしたい。
ここ最近で一番キュンとしたのは、チャットで知り合った子と暇電をしてた時。
その子は福岡の子で、いつも博多弁かわいいなぁと思いながら話していた。
誤解がないよう言っておくが、彼女に恋をしているわけではない。
彼女と電話をする時は大抵その子の恋愛相談を受ける時だ。彼氏になりそうな人がいるか彼氏とうまくいかない時に電話がかかってくる。
僕は恋愛相談をされても交際経験はなく童貞なので、実体験を元に助言は出来ない。
だからいつもいちご100%を参照して、自分の意見を言うって感じで、話をしている。
いちご100%は名作で、大抵の恋愛シーンに対応しているので、いちごを参考にした助言は案外相手にとって役立つものとなりうるようだ。
話が逸れたので戻すと、彼女とは恋愛関係とかではなく、普通に友達として電話している。
こないだの木曜日、仕事が終わった夜、彼女から電話がきた。
電話の内容は伏せるけど、結構遅くまで電話をした。お互い眠いと思いながらも電話は長引き1時を過ぎるくらいにまで時間は進んだ。
その時の電話越しの彼女の声にキュンとした。
「あんなぁ〜、んー、なんだっけ……話しすぎたけん、何の話をしとっとー、分からなくなってきた……。眠いー。」
眠そうで少し甘ったるい感じの声。
僕に恋愛的な意味で好意を寄せているわけではないけども、僕も彼女を恋愛的な意味で好意は抱いてないけども、眠たげで少し甘ったるいその声はなんだか妙にキュンとした。
もしも、彼女がいて、それが好きな人で、電話じゃなくて隣に寝ていて、そんな声をきいたなら……。
僕は家の中ではあれ、天を仰いだ。
恋に恋をしている。
好きって気持ちを持ったり持たれたりすることに幸せを感じることを切望している。
まずは好き人を作らねば……。
焦っても始まらないのは重々承知だが、若いうちに歳の近い子とできれば恋をしたい。
もう23。制服デートを逃した僕にはあまり時間がない。