ハッピーアイスクリーム~自由を望む2人の民~

ハッピーアイスクリーム〜自由を望む2人の民〜

ストレスフリーに生きることを望むも仕事を未だ辞めることのできない情けな〜い2人の民によるブログです!ぜひご覧くださいっ!

【小説】another stay home 〜ver.wind perfume〜


コロナになってからろくなことがない。
友だちの優美とは喧嘩するし、弟は臭いし、母はうざいし、彼氏と別れるし。
本当ストレスが溜まる。
コロナにかかってもいい、こんな生活はもう沢山だから外で遊ばせて欲しい。
過ごしやすい季節になってきたし、天気もいい毎日。コロナがなければ今ごろ可愛い服買って原宿とか渋谷とか行って遊ぶのに。
いつまでこんな生活すればいいんだか。

「風香ー?ちゃんと勉強してるー?」と下から母の声が聴こえる。

はぁー、うざったい。どうせテストもないんだし、勉強とかしなくていいでしょ。

「してるしてる!大丈夫だからー!」

適当に返事をしてスマホをいじる。
スマホも飽きてきた。
YouTubeならどんだけ見ても飽きないって思ってたけど、YouTubeは一日中見てたら3日で飽きる。
YouTubeだけじゃない。TwitterもインスタもTikTokも全部飽きた。
友だちと電話するのでさえ飽きた。
何もしたくないけど退屈なのも嫌。外に出ない生活は生き地獄だ。
早く終わらないかな本当。
ブーッブーッ。スマホのバイブが鳴る。

「えっ?大山?」

クラスの男子。あんまり話したことがない。目立たない草食系。見た目は総書記系。…って誰うま。

「何?」
「開口一番で何って、大分気が立ってるな。」
「喧嘩売ってんの??」
「いや、売ってない。怒ったならごめん。」

大山はクラスで目立たないやつだけど、オタク特有のおどおどした感じはない。
私の口調はきついから大抵の男はおどおどしながら話すけど、大山の口調は割としっかりしていた。

「別に怒ってないけど、で、何の用?」
「いや、えーっとさ。」
「何?」
「宮脇と別れたってきいたんだけど…。」
「はっ?」

誰が言ったんだ。学校に行ってないのに別れた情報が流れるとか卍。
……。
あっ、そういえばこいつにTwitterフォローされてたんだっけ。
じゃあ知っててもおかしくないか。

「いや、別にだからどうって訳ではないんだけど、実際どうなのか気になって…。」
「なんで?」
「それはその…」
「喧嘩売ってんの?」
「だから売ってないって!つまりさ、その…」
「言いたいことがあるならはっきり言えよ。」

おどおどしてるわけじゃないが要領得ない話し方にイラッとする。

「俺と付き合わない?」
「はっ?」
「だから俺と付き合わない?」
「なっ…はっ?なんで?」
「いや、だって今フリーでしょ?」
「だからって何で付き合わなきゃなんないわけ?」
「そりゃあ俺が比嘉のこと好きだからだけど…」

そんな素振りを見せられたことがない。つかあんまり話したことがない。顔か、顔がいいからなのか。
総書記も面食いなのか。まあガチの総書記なら面食いかもしれんけど。

「はっ?嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ。嫌なら断ってくれていいんだけど、こんなコロナで憂鬱な中さ、なんかいいことないとやってらんなくて」
「退屈しのぎってこと?」
「退屈しのぎでは全然ないけど、俺は本気だけど、比嘉は退屈しのぎで付き合ってくれて全然いいからさ、どう?」

退屈しのぎかぁ…退屈しのぎで大山と付き合うかぁ…大山かぁ…あの総書記男かぁ…。うーん。
でもこいつ意外と声だけはいいんだよなぁ…。
普段全然気にしてなかったけど。

「まぁコロナ収束するまでならいいよ。」
「まじ!?いい!全然いいよ!」
「コロナ明けるまでだからな!あと他言無用だからっ!」
「おう!そこらへんは大丈夫俺口硬いから。はぁー言ってよかったぁ」
「ウケる。」

総書記系の顔の大山の喜んでる姿を想像すると何だか笑えた。
コロナが終わるまで、少しこいつで遊ぶか。

「じゃあこれからよろしくな。」
「うん。」

ガチャリっ。私が頷いた瞬間電話が切れた。
言いたいことだけ言って電話切るとかへんなやつだな総書記は。

次はいつ電話がかかってくるのやら。

「風香ー!そろそろご飯できるから下りてきなさい!」

「はーい。」

スマホを持ってリビングへ行く。

あんまり動いてないけど少しお腹が空いた。


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